ホーム   ラサ発チベットツアー    成都発チベットツアー    西寧発チベットツアー   蘭州発チベットツアー    九寨溝四川省ツアー  
中国とチベットの国境の街、都江堰市
   

 アバ州を訪れる外国人(中国人も含む)のほとんどは四川省の省都である成都市を経由することになるであろう。成都市から北西に50キロ進むと都江堰市に入る。都江堰市には都江堰水利施設と道教の聖地である青城山という二つの有名な観光地があり、西暦2000年に二つまとめて一件の世界遺産に登録されている。都江堰市からさらに西へ行くと、そこはもうアバ?チベット族チャン族自治州である。都江堰は中国とチベットの国境の街であるといえる。というと市内には中国的雰囲気とチベット的雰囲気が入り混じっているのかというと残念ながらそのような雰囲気はほとんどない。どこにでもありそうなありふれた中国の地方都市である。

 都江堰市は広大な四川盆地の西端に位置するが、アバ州に入ると途端に山岳地帯となる。やはりチベットは山だ。アバ州のような中国に隣接して中国の経済的影響を強く受けた地域でさえも険しい山と急な坂が続いている。ただし、チベットのウー?ツァン地方(主にチベット自治区)がはげ山だらけなのと比べると、アバ州は深い緑に覆われている。アバ州とほぼ同じ面積の北海道は比較的平地が多いのに対し、アバ州は全域が山だ。どうしたってチベット旅行は時間と労力が必要となる。

アバ州に入って間もなく、映秀鎮で道が二手に分かれる。とりあえず左に曲がるとしよう。間もなく、パンダの古里である臥竜に到着する。2006年の7月、四川省のパンダ保護区がユネスコの世界自然遺産に登録された。中国共産党政権下での行政区分に基づく四川省では5つ目の世界遺産であると同時に、チベットにとっても5つ目の世界遺産となる。世界に輸出されたパンダのほとんどはこの地域の出身である。

四姑娘山
  さらに西へ進むと、東チベットを代表する自然観光地である四姑娘に到着する。四姑娘は日本語で「しごじょうさん」と読むが、中国語の発音を用いて「スークーニャン」と発音するのが一般的である。地図で見ると都江堰からスークーニャンはさほど離れているようには見えないが、チベットは険しい山道の連続なのでだいたい5,6時間はかかる。しかもスークーニャンは標高6250メートル、観光客が立ち入れるエリアでも標高4000メートルを超える。チベット人から聖山として崇められている四姑娘山の由来は4人の美しい娘がパンダを守るために獰猛な豹と戦ったという伝説から来ている。行政区画では小金県とブン川県にまたがっている。また、複雑な地形と変動激しい気象条件によって、生態系も複雑になっており、世界中の植物学者を引き付けている。

 映秀鎮に戻って、今度は右に行くとしよう。国道213号線を北上すると九寨溝と黄龍へと向うことになる。かつては九寨溝への道は相当な難所でバスの転落事故が何回も発生した。事故に会わなくても、九寨溝にたどりつくには相当な悪路で大地震のように揺れまくるバスの中で十数時間も耐えなければならなかった。現在では道路が大幅に整備された。今でも所要時間は十時間近くかかるが、バスはさほど揺れず、以前と比べれば段違いに快適となっている。

映秀鎮から213号線をしばらく北上すると?川という町にたどりつく。ここは川下りの名所でもあり、中国人がボートに乗ってレジャーを楽しんだりしている。?川でも道が二手に分かれているが、とりあえず右に行って213号線を北上しよう。すると茂県という町に到着する。

 茂県の中心部は何の変哲も無い普通の町だ。213号線の両側に商店が並ぶ。チベットらしい雰囲気は全く無く、中国のどこにでも存在するような地方の小都市である。だが都江堰から九寨溝までは一日がかりの移動となるので、茂県で経由のために宿泊する観光客も多く、ホテルなどはそこそこ充実している。こんな山奥によくこれだけ現代的な町を築いたのだと感心してしまう。ただし茂県全体は4千平方キロメートルの面積があり、人口の88%をチャン族が占めるという。チャン族といえば茂県の東には綿陽市の北川チャン族自治県が隣接している。


九寨溝
さらに北上すると松藩県に到着。かつての松藩は城壁都市で、現在でも城門と橋が残されている。甘粛省に近く、回族が比較的多くて、人口の20%を占めている。松藩県は世界自然遺産黄龍を抱えている。黄龍はカルスト地質が作り出した3000以上の大小の池が段上に連なっている。最大のものは4000平方メートルにもなる。黄龍の入口附近は大規模な観光開発がなされ、広大な駐車場、大規模なレストハウス、どでかい入場門が整備された。黄龍で道は左右に分かれ、国道213号線は左側に続いているのだが、九寨溝に行くためには右に入る。

黄龍
黄龍から約150キロ北上するとついにチベット随一の自然観光地世界遺産九寨溝に到着する。ミネラル成分の多い湖の水質が実に鮮やかな色彩を作り出している。九寨溝は都江堰から国境を越えてチベットのアバ州に入ってから車で約10時間の距離にある。現在では空港もオープンしたが、バスで訪れる観光客のほうが圧倒的に多い。九寨溝の入場料はなんと300元、日本円で約4千円だ。都市部の中国人にとっては月給の10分の1、農民にとっては月給がまるまるふっとぶ金額だ。通常ツアーでは九寨溝と黄龍はセットになっている。中国が好きか嫌いか、チベットに興味があるかないかに関係なく、九寨溝?黄龍は一生に一度はぜひとも訪れたい観光地である。九寨溝はあまりにもメジャーすぎて世界中から観光客が集まり、日本人の団体客にも頻繁に遭遇する。伝説によると、女神が悪魔と戦ったとき、魔法の鏡を落とし、壊れた銀色の鏡の破片が九寨溝の多彩な湖になったという。九寨溝を過ぎると、地図で見た限りでは道路はUターンをするような感じで(実際には曲がりくねった山道のはず)南下し、綿陽市の平武県にはいる。