甘丹寺(カンデン寺)寺
甘丹寺は、「宗喀巴」という人が1409年に建てました。清代では世宗皇帝に「永寿寺」と命名されたこともあります。「甘丹」はチベット語が音訳されたもので、「兜率天」と通訳され、仏陀の弥勒が作った理想の未来世界のことを意味しています。この寺の僧侶は 「弥勒の浄土」を信奉しています。宗喀巴の後継者である「甘丹赤巴」と名を継ぐ人も、この寺で修行しています。境内には、歴代の甘丹赤巴の遺体の霊塔が90個余り保存され、明朝以来の沢山の文化財と工芸品も収蔵されています。
1419年、宗喀巴は甘丹寺で亡くなり、肉体は霊塔に保存されています。宗喀巴が修行していた洞穴は、寺院の東の高地にあり、有名な古跡の1つです。それの下に宗喀巴の寝殿があり、殿内は宗喀巴が使用していた経書、袈裟、印章などの遺物が展示されています。
甘丹寺は、ラサ市達孜県内のラサ川南岸に、3800メートルの高さを持つ旺波日山の上にあります。ラサ市内から57キロメートル離れています。旺波日山は、1匹の象が伏せて背中に巨大な規模の寺院建築群を載せているようです。伝統的なチベット仏教を象徴する寺が、地勢に合わせて建てられています。山に寄りかかり、非常に壮観です。甘丹寺は仏殿、喇章宮殿、僧院と米村とその他の付属建物で構成されています。
甘丹寺内は、貴重な歴史文化財が数多く収蔵されています。その中、1757年、清の乾隆皇帝が賜った金と銀、真珠や宝石があります。他に、漢、満、モングル、チベットの4種類の文字が書かれた甲冑もあります。また、金を使いチベット文字で書かれた『大蔵経』の『甘珠尔』の経典、そして16羅漢と四天王をイメージして作られた「唐繍」と言われる24枚の刺繍もあります。これらは中国特級文化財と認められ、明、清代の中央政府とチベット地方の間の、親密な関係を明らかにしています。24枚の刺繍は、毎年3週間展示されるため、甘丹寺では、1年に1度の規模で盛大な「甘丹繍唐節」が行われます。