中國の四川省楽山市にある楽山大仏は凌雲大仏とも呼ばれ、岷江、青衣江、大渡河の合流する凌雲栖霞峰山に営造されている。楽山大仏は唐代開元元年(西暦713年)に営造を始め、貞元19年(西暦803年)に完成されたものであり、約90年かかるほどの未曾有の大工事であった。この大仏は弥勒菩薩に肖り造られたものであり、71Mも高く、世界で最も大きい石彫り式の坐像大仏として歴代の人々から仰がれてきた。
西暦713年、当時の海通禅師が岷江の水の勢いを静め、衆生を済度するために、民間の力を集めて大仏造りの工事を始めようとした。記載によると海通禅師が大仏の工事を始めたばかりの時、土地の官吏が難癖をつけに来したが、最後まで大仏を完成させようという決心を見せるために禅師が毅然として自分の目玉を潰して官吏に見せたという話がある。海通禅師の揺るぎない態度に感化された官民がとうとう一丸となり、大仏造りの作業に取り組んできた。海通禅師が園寂したあと、一度、工事が滞りましたが、再び工事が再開され、西暦803年に、ようやく完成を成し遂げた。この大仏はよく「山が一体の仏であり、仏が一つの山である」と称えられている。楽山大仏風景区は大仏の所在地のある凌雲山、麻浩岩墓、烏尤山などの観光ポイントからなり、面積がおよそ8平方メートルに達しています。国の5A級の観光地に指定されているほか、1996年12月、峨眉山風景区に納められ、ユネスコの「世界自然と文化遺産名録」に登録されることになった。
大仏は頭部が山の頂きに当たり、両足が川を踏みしめるように静坐の姿勢を見せ、両手が膝の上に載せて、プロポーションもよくできている。おっとりとした構えを見せながら、柔和な眼差しで、前方の楽山市を見守ってきた。大仏の頭が高さ17、4M、幅10Mであり、頭に髷が1051個結ばれている。耳が長さ7Mあり、鼻や眉の長さが共に5、6Mに達している。そして口と目の長さが3、3Mであるほか、首だけが3Mもある。このほか、大仏の肩が24M 、指の長さが8、3M、膝から足の甲までが28M、足の甲の幅が8、5Mとなっている。足の甲だけでもに約百人が座れるほど、比類のないまでとなっている。更に大仏の両側の川に面する絶壁に高さ10Mで、両手に武器をしている武士模様の守護神が二体、刻まれているほか、千体以上の小さい仏像が岩肌に彫刻してあることから、規模の大きい仏教芸術群として話題を呼んでいる。