黄龍は四川省松潘県の東、約35キロの所に位置し、エメラルドグリーンに輝く神秘の峡谷の底にある湖沼群です。峡谷は玉翠山の中を南北に7,8キロにわたり続いています。九寨溝とはひとやま離れた所に位置するが、雪山によって阻まれているため100キロ回り道をしてやっとたどり着くことができます。
この峡谷の不思議な所は、峡谷の底にある岩石で、色は乳白色でつるつるしており、石灰岩でできた鍾乳洞の中にある鍾乳石と酷似しています。岩石は起伏に富んでおり、峡谷に沿って、曲がりくねっています。その様子はまるで黄色い龍がとぐろを巻いているようです。また、水があふれる棚田のようにも見え、そのエメラルドグリーンに輝く水は、見る角度により様々に変化します。
黄龍は観光コースとして麓の「迎賓彩池」(標高3199m)から「五彩池」(標高3553m)までの約3.7kmの区間が整備されています。その魅力は何と言っても水の色が場所によって緑、青、黄色、茶色と様々に変化する景観で、晴天時は太陽の光と相まって金色に輝いて見えます。黄龍の名の由来ともなった龍の鱗のような形状の水景群を堪能することができます。中でも最も奥地にある黄龍最大の観光スポットである「五彩池」、そして第2の規模を持つ色彩鮮やかな「争艶池」は高い人気を誇ります。五彩池には693もの池群が広がり、「人間瑶池(この世の秘境)」と書かれた石碑や明の時代創建の石塔などが立ち、黄色い石灰質の鍾乳洞とエメラルドグリーンが重なる水の芸術を楽しむことができます。また「金沙舗地」(標高3281m)では金の砂が地面を敷き詰めたように見えることからこの名が付けられ、1500mの長さを持つ世界最長の色彩豊かな石灰岩質地帯としてよく知られています。
黄龍は2006年8月にロープウェイが開通しましたが、自然のままの景観を大切にしようということからロープウェイステーションはいずれも遊歩道コースからかなり離れたところに設置されています。特に上りはロープウェイを使うことをお勧めで、一気に五彩池とほぼ同じ標高まで到達でき、アクセスも便利で大変楽に黄龍を観光することができます。また遊歩道のうち麓に近い区間は上りと下りに分けられ、所要時間は往復で約4時間(上り2.5時間、下り1.5時間)かかります。標高が高いうえに高低差が大きいことから高山病への注意から酸素ボンベなど携帯が必要となります。